9.5. 染色体の挙動と遺伝
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1866年にメンデルが研究成果を発表
彼の死後も長期に渡って重要性が理解されることはなかった
1800年代末期、細胞生物学者が細胞分裂と減数分裂の過程を明らかにした
1900年頃には、染色体の挙動とメンデルの「遺伝性因子」の挙動が似ていることに学者たちが注目し始めた
染色体説 chromosome theory of inheritance
遺伝子は染色体上の特定の部位に位置し、減数分裂と受精の際の染色体の挙動により遺伝様式が説明できる
実際に染色体は減数分裂のときに分離して独立に分配され、これによりメンデルの法則が説明される
遺伝子の連鎖
染色体上に遺伝子が載っていることが理解されると、メンデルの研究を染色体の分離に伴う現象について拡張できるようになった
連鎖遺伝子 linked gene
一緒に子孫に伝わる傾向があるため、メンデルの独立の法則に従わない
連載電子に関する初期の最も重要な研究は、トーマス・ハント・モルガン Thomas Hunt Morganが行ったもの
ショウジョウバエ Drosophila melanogasterを対象
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モルガンは、体色の遺伝子と翅の形態の遺伝子は連鎖しており、この場合はGL、glがそれぞれ連鎖していたため、いっしょに子孫に伝わったと推論した
このような連鎖のため、ヘテロ接合体のショウジョウバエは減数分裂時に2種類の遺伝子型の配偶子が他の配偶子よりも多く生じたと考えられる
交差による遺伝的組換え
減数分裂時の相同染色体の間の交差により、分節の入れ替えが起こった染色体が半数体の娘細胞に伝えられる
交差の結果、対立遺伝子の新たな組み合わせが生じる
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組換え型の表現型をもつ非親型の子孫が観察されたことは、交差により説明できるとモルガンは仮定した
さらに、組換え型の表現型を示した17%の子孫は、組換え型の配偶子の受精により生じたに違いないと考えた
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組換え頻度 recombinant frequency
すべての子孫に対する組換え型の子孫の出現率
連鎖地図
アルフレッド・H・スタートバント Alfred H. Sturtevantはショウジョウバエの研究を通じて、交差の情報により染色体上の遺伝子の座位の地図を作成する方法を開発した
この方法は、染色体の全長にわたって交差が起こる可能性はどの点でもほぼ均一であるという前提
スタートバントは、染色体上の2つの遺伝子の間の距離が大きくなると、その間で交差が起こる確率が高くなると仮定した
距離が大きければあ交差が起こるポイントがそれだけ大きくなるというもの
この仮定は厳密には正確でないが、十分に有益な情報を提供する
スタートバントの論法の応用により、遺伝子地図を作成することができる
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組換え頻度の差は遺伝子の間の相対的な距離を示していると推論した
連鎖地図 linkage map
遺伝子の相対的な位置関係を描いたもの
この連鎖地図作成法は、多くの生物種において多数の遺伝子の相対的な位置関係を定めるのにきわめて有効であることが証明されている
単に生物を育種し観察することによって遺伝子に関する豊富な情報が得られる
→9.6. 性染色体と伴性遺伝子